ハヤシ歯科レポート

オーラルフレイル予防で健康寿命を延ばす:口腔機能の低下を見逃さないために

近年、健康寿命という概念への関心が高まる中で、注目されているのが「オーラルフレイル(口腔の虚弱)」です。オーラルフレイルは、加齢や生活習慣の変化によって生じる口腔機能の軽微な衰えを指し、そのまま放置すると全身の虚弱(フレイル)や介護状態へとつながるリスクが高まることが明らかになっています。
ハヤシ歯科では、口腔の健康を単なる歯の健康と捉えるのではなく、全身の健康と深く関連した重要な機能のひとつとして、オーラルフレイルの予防と早期対応に力を入れています。



オーラルフレイルが健康寿命を左右する理由
公益社団法人 日本歯科医師会の定義によると、オーラルフレイルは「噛む力の低下」「滑舌の悪化」「飲み込みにくさ」といったわずかな口腔機能の変化から始まり、やがて食事の偏りや低栄養、さらには認知機能や身体機能の低下へと連鎖することが報告されています。
この連鎖が進行すると、外出機会の減少や社会的孤立も加わり、最終的には介護が必要となる状態へと至る可能性が高くなります。まさに、オーラルフレイルは健康寿命を左右する「入り口」と言えるのです。

歯科医院でできるオーラルフレイル対策
オーラルフレイルは早期に気づき、適切な介入を行えば改善が期待できる可逆的な状態です。そのためには、歯科医院での定期的な「口腔機能評価」が重要となります。
ハヤシ歯科では、以下のような評価と支援を提供しています:
・咀嚼力・嚥下力の測定
・発音や舌の運動機能のチェック
・必要に応じた口腔リハビリテーションの指導
・栄養士・医師との連携による多職種サポート
これにより、口腔機能の低下を早期に把握し、進行を防ぐための具体的な対応が可能となります。

自宅でできる口腔機能維持の習慣
歯科医院でのチェックに加え、日々の生活の中でもできるオーラルフレイル予防は多数あります。以下に代表的な方法を挙げます:
・よく噛んで食べる:食材を大きめに切ったり、歯ごたえのある食事を取り入れることで、咀嚼筋を鍛えることができます。
・発声練習を習慣化する:「パ・タ・カ・ラ体操」など、発音に必要な舌・唇・頬の筋肉を使う練習が効果的です。
水分を意識的に摂る:口腔内の乾燥を防ぎ、飲み込みの機能を保ちます。
・人と話す機会を増やす:会話を通じて口腔筋の運動と社会的なつながりを保ちましょう。

口腔機能の小さな衰えが、やがて生活全体の質を左右する―これは決して大げさな話ではありません。
ハヤシ歯科では、「食べる」「話す」「飲み込む」といった当たり前の行為を一生楽しめるよう、オーラルフレイル予防を通じて患者様の健康寿命の延伸をサポートしています。

【参考】
公益社団法人 日本歯科医師会「オーラルフレイル」
https://www.jda.or.jp/oral_frail/


噛み合わせが姿勢と肩こりに与える影響とは――咬合と全身のつながりを見直す

肩こりや頭痛、そして慢性的な姿勢の乱れに悩まされていませんか?これらの不調の背後に、「噛み合わせ(咬合)」の問題が潜んでいる可能性があります。
私たちはふだん、歯や顎の役割を「食べる」「話す」といった機能に限定しがちですが、実は噛み合わせは全身の筋肉や骨格のバランスと密接に関係しています。
ハヤシ歯科では、このような全身の不調に繋がる噛み合わせの改善を重視した診療を行っています。

噛み合わせの乱れが引き起こす身体への影響
噛み合わせが左右または前後でズレていると、咀嚼のたびに顎の筋肉に偏った負荷がかかり、やがて首や肩、背中の筋肉にも緊張が広がります。
この緊張は、次第に猫背や体の歪み、慢性的な肩こりや頭痛といった形で現れることがあります。
特に40〜70代の方は、加齢に伴う筋力低下や姿勢の変化が重なりやすく、噛み合わせの不調が全身に与える影響が顕著になりやすい世代とも言えます。

※出典:日本訪問歯科協会「噛み合わせと全身状態」
https://www.houmonshika.org/oralcare/c122/

咬合調整で期待できる全身バランスの改善
歯科医院での咬合(こうごう)調整により、顎の正しい位置を取り戻すことで、身体全体の筋肉や関節のバランスが整いやすくなるとされています。
たとえば、無意識のうちに片側で噛む癖がある方や、詰め物・被せ物が合っていない方は、適切な調整を受けることで顎関節の動きが改善され、肩の緊張が和らいだというケースも報告されています。

噛み合わせの改善がQOL(生活の質)を高める
姿勢が整い、肩や首の不快感が軽減されることで、日常生活の快適さや集中力、睡眠の質にも好影響が期待されます。
つまり噛み合わせを見直すことは、単に歯や顎の問題を解決するだけでなく、健康寿命の延伸やQOLの向上にもつながる重要なアプローチなのです。

ハヤシ歯科では、口腔内だけにとどまらず、全身のバランスと調和を意識した診療を行っています。
専門的な検査に基づき、一人ひとりに合わせた咬合調整をご提案し、根本的な体の不調の改善につながるサポートをいたします。
長年悩んでいた肩こりや姿勢の崩れも、「噛み合わせ」という視点からアプローチすることで新たな解決の糸口が見つかるかもしれません。


歯の寿命が、あなたの“健康寿命”を左右する――噛む力と認知機能の深い関係

近年、「歯の寿命」と「健康寿命」との間に深い関連があることが、国内外の研究で次々と明らかになっています。
なかでも注目されているのが、「残存歯数(=現在ある歯の本数)」と認知症や転倒リスクとの関係です。
ハヤシ歯科では、口腔の健康が全身の健康を支えるという視点から、予防・治療の両面で丁寧なサポートを行っています。
本記事では、なぜ「歯」が人生の後半を左右するのか、その科学的根拠とともに解説いたします。

残存歯数と認知症リスクの関連性
日本歯科医師会が公開している研究(※)によれば、残存歯数が多い高齢者ほど、アルツハイマー型認知症の発症リスクが低いことが報告されています。この研究は、厚生労働省の「8020推進財団」のデータに基づき行われたもので、歯を多く残している方は、日常生活動作(ADL)や認知機能の維持が良好であることが示唆されました。

※出典:日本歯科医師会「歯数とアルツハイマー型認知症との関連」
https://www.jda.or.jp/jda/release/detail_148.html

噛むことが、脳を活性化する
私たちが食事の際に「噛む」動作をすることで、咀嚼筋が脳に刺激を与え、血流が促進されることがわかっています。特に、海馬(記憶をつかさどる部位)への刺激が強く、これが認知機能の低下を防ぐ要因と考えられています。
また、硬いものを噛む習慣のある人は、バランス感覚や下肢筋力の維持にもつながり、転倒リスクの軽減にもつながるとされています。つまり、しっかり噛む力を保つことは、認知症のみならず、要介護予防の第一歩とも言えるのです。

義歯でも噛む力を保てば、脳は活性化する
自分の歯が少なくなったとしても、適切な義歯(入れ歯)の使用によって噛む力を維持することは可能です。実際に、義歯を使用している方の方が、未装着の方に比べて認知症リスクが低いという調査結果も報告されています。
大切なのは、「噛む」という行為を失わないこと。そのためには、合わない義歯の使用を避け、定期的な調整や口腔内のチェックを欠かさないことが重要です。

健康寿命を延ばすために、まずは歯の健康から
“人生100年時代”と言われる現代。自立した生活を長く続けるためには、「歯の寿命=健康寿命」という視点が欠かせません。
ハヤシ歯科では、単なる治療にとどまらず、噛む力・飲み込む力・話す力といった、口腔機能の維持を重視したケアを行っています。
ご自身の歯を1本でも多く残し、もし失った場合でも適切に補うことで、心身の健康を支える未来設計が可能です。お気軽にご相談ください。


歯周病は「口の病気」だけではありません——全身疾患との深い関係性とは

健康寿命の延伸が注目される現代、私たちが見落としがちな“全身の健康の入口”があります。
それが「歯ぐき」です。特に歯周病は、単なる口腔トラブルではなく、糖尿病をはじめとするさまざまな全身疾患との関連が科学的に示されている深刻な病気です。
本記事では、歯周病と全身疾患の関係について、最新の研究や厚生労働省、日本臨床歯周病学会の報告を踏まえながら解説いたします。

歯周病と糖尿病の相関関係
歯周病と最も強い関連が報告されている全身疾患が糖尿病です。歯周病は、歯ぐきに慢性的な炎症が起こる疾患ですが、この炎症が血糖コントロールを悪化させることが知られています。
一方、糖尿病になると免疫機能が低下し、歯周病が進行しやすくなることも確認されています。つまり、糖尿病と歯周病は“相互に悪影響を及ぼす”関係にあるのです。
日本臨床歯周病学会の報告によれば、歯周病を治療することでHbA1c(ヘモグロビンA1c)が改善されるケースもあり、歯科治療が糖尿病管理の一環として注目されています。

※出典:日本臨床歯周病学会「歯周病が全身に及ぼす影響」
https://www.jacp.net/perio/effect/



心疾患・脳卒中との関係も明らかに
さらに近年では、歯周病と心血管疾患(心筋梗塞・狭心症など)、脳卒中との関連も数多く報告されています。
歯周病による慢性的な炎症が、血管の内皮細胞にダメージを与え、動脈硬化のリスクを高めると考えられています。
また、歯周病菌やその毒素が血流に入り込み、心臓や脳に影響を及ぼす可能性も指摘されています。

※出典:厚生労働省「歯周病検診マニュアル 2023」
https://www.mhlw.go.jp/content/001253380.pdf

歯ぐきの炎症が「静かに」全身に影響する理由
歯周病の怖さは、その自覚症状の乏しさにあります。初期の段階ではほとんど痛みがなく、出血や口臭、歯ぐきの腫れといったサインも見過ごされがちです。しかし、その裏で炎症性サイトカインという物質が分泌され、全身に拡散しているのです。
この“静かな炎症”は、糖尿病や動脈硬化、さらには認知症との関連まで研究が進められており、「口腔の健康」はそのまま「全身の健康」に直結しているという意識が重要です。

健康長寿の鍵は「歯ぐきケア」にあり
40代以降の多くの方が、軽度〜中等度の歯周病を抱えていると言われています。
しかし適切なセルフケア(正しいブラッシング・デンタルフロスなど)と、歯科医院での定期的なメンテナンスによって、歯周病の進行を抑え、全身の健康リスクを下げることが可能です。
ハヤシ歯科では、単なる歯の治療だけでなく、「健康寿命を支える口腔ケア」の観点から、患者さま一人ひとりに合わせた歯周病予防・治療をご提案しています。


【ホームホワイトニングのご案内】自宅で叶える自然な白さとそのポイント

年齢を重ねるごとに、歯の黄ばみや着色は多くの方が気にされる課題の一つです。特に、健康や美意識の高い40代〜70代の方々にとって、歯の白さは若々しく清潔感のある印象を保つために重要な要素となります。

ハヤシ歯科では、クリニックで行う「オフィスホワイトニング」と並び、ご自宅で行える「ホームホワイトニング」もご提案しております。
本日は、ホームホワイトニングの特徴とそのメリット、注意すべきポイントについて詳しくご紹介いたします。

ホームホワイトニングとは
ホームホワイトニングとは、患者様専用に作製したマウスピース(トレー)にホワイトニングジェルを注入し、ご自宅で一定期間装着することで、歯を徐々に白くしていく方法です。



ホームホワイトニングのメリット
1. 自然な白さが得られる
ホームホワイトニングは、ゆっくりと時間をかけて歯を漂白するため、オフィスホワイトニングに比べ、より自然な白さに仕上がる傾向があります。人工的な白さではなく、ナチュラルで透明感のある仕上がりをご希望の方に適しています。

2. ご自宅で手軽にケアが可能
ご自宅でお好きな時間に実施できるため、ライフスタイルに合わせて無理なく取り入れられるのも大きな魅力です。特にお忙しい方や、通院回数を抑えたい方におすすめです。

3. 色戻りしにくく、効果が長持ち
ホームホワイトニングは、ゆっくりと薬剤が歯の内部まで浸透するため、色戻りがしにくく、持続的な効果が期待できます。定期的に行うことで、長期的に美しい白さを維持することが可能です。

ホームホワイトニングの注意点
1. 効果の実感までに時間がかかる
オフィスホワイトニングに比べ、ホームホワイトニングは低濃度の薬剤を使用するため、効果の実感までにやや時間がかかります。即効性よりも、ゆっくりと白さを高めていく方法となりますので、計画的な実施が必要です。

2. 正しい使用方法が求められる
ジェルの量や装着時間を誤ると、知覚過敏などの症状が生じる可能性もあります。ハヤシ歯科では、治療前に十分なカウンセリングと指導を行い、安心してご自宅でケアができるようサポートしております。

3. 着色物の摂取に注意
ホームホワイトニング実施期間中は、コーヒーや赤ワイン、カレーなど、色素の強い飲食物は控えていただくことを推奨しております。漂白中の歯は着色しやすいため、慎重な食生活を心掛けていただくことが大切です。

ホームホワイトニングは、ご自宅で手軽に行える反面、専門的な知識と正しい方法で行うことが、効果を最大限に引き出す鍵となります。
ハヤシ歯科では、ホームホワイトニングの導入からアフターケアまで、患者様一人ひとりに合わせた丁寧なサポートをご提供しております。
自然で美しい白さを目指す皆様へ、ぜひお気軽にご相談ください。