ハヤシ歯科レポート

フッ素は「歯を守る成分」だけではない|栄養素としてのフッ化物の役割

一般的に「フッ素=むし歯予防の成分」というイメージが強いかもしれません。しかし実際のところ、フッ素(フッ化物)は人体にとって必要不可欠な“必須微量元素”であり、歯だけでなく、骨の健康やミネラル代謝にも関与しています。
本記事では、フッ素を「栄養・ミネラル」として捉え直し、ハヤシ歯科が重視する全身の健康との関連について詳しく解説いたします。

フッ素は「必須微量元素」のひとつ
フッ素(元素記号:F)は、国際的に必須微量元素として位置づけられており、人の健康を保つためにごく微量ながら必要な成分です。
WHO(世界保健機関)とFAO(食糧農業機関)は、すでに1974年に「ヒトの栄養所要量の手引」を発行し、フッ化物を必須栄養素として位置づけています。必要とされるフッ化物は微量ですが、からだのとくに歯や骨をつくる石灰化には欠かせない物質であり、すでに欧米では長年にわたり必要な栄養素として、所要量が策定されているのです。
このように、フッ素は単なる外用成分ではなく、体内から摂取される「微量栄養素」としての側面を持っています。

日本の食品に含まれるフッ化物
フッ化物は自然界に広く存在し、日本国内で流通しているほとんどの食品に微量ながら含まれています。 特に、食塩やお茶、魚介類のフッ化物濃度は比較的高いことが分かります。



緑茶の葉にはとくに例外的に多く、200〜400ppmもあって、抽出したいわゆる飲用のお茶にも、0.5〜2.0ppmくらいは浸出しているようです。普通の水道水や飲料水のフッ化物イオン濃度は0.1ppm程度ですが、私達が日常飲んでいるお茶はその5倍から20倍前後の濃度です。

※出典:日本歯科医師会「フッ化物 - 歯とお口のことなら何でもわかる」
https://www.jda.or.jp/park/prevent/index05_04.html

フッ素摂取の“ちょうどよい”バランスとは
フッ化物の摂取においては、「不足」と「過剰」のどちらにも注意が必要です。
・不足すると…
歯のエナメル質の形成に支障が出たり、骨の再構築が不十分になる可能性があります。
・過剰になると…
小児期に高濃度のフッ素を長期摂取すると、歯の白濁(歯のフッ素症)が起こることがあります。ただし、通常の飲食や歯科的フッ素使用では問題となる量ではありません。
そのため、日常生活では「適切なフッ素摂取」と「局所的なフッ素応用(歯磨剤・フッ素塗布)」の両立が、最も効果的かつ安全なむし歯・骨代謝予防につながります。

ハヤシ歯科が提案する、フッ素の活用方法
ハヤシ歯科では、歯科的アプローチだけでなく、食生活・ミネラル摂取の観点からも、予防医学の実践を大切にしています。
ご希望の方には、以下のようなサポートを行っています:
・唾液検査によるリスク評価とミネラル状態の把握
・症状に応じたフッ素ケア製品のご提案
・食生活・栄養バランスに関するアドバイス
・フッ化物洗口や高濃度フッ素塗布の定期実施(希望者のみ)
口腔の健康は、単なる「むし歯予防」にとどまらず、全身の栄養と骨代謝に関わる重要な要素であることを、あらためてお伝えしたいと考えています。