ハヤシ歯科レポート

むし歯はなぜ起こるのか|う蝕のメカニズムと予防の基本

むし歯(う蝕)は、誰にでも起こりうる極めて一般的な疾患ですが、その発症には科学的に明確な「メカニズム」が存在します。特に、食事と口腔内の酸性環境、そして再石灰化の働きに注目することで、むし歯の本質と、効果的な予防方法が見えてきます。
本記事では、歯が酸で溶ける「脱灰」と、自然な修復作用である「再石灰化」という二つのキーワードを中心に、う蝕の発症プロセスとその抑制策を、医学的根拠に基づいて解説いたします。

う蝕が起こる四つの要因
う蝕(むし歯)は、以下の4つの要因が重なることで発症すると考えられています。
・細菌(主にミュータンス菌)
・糖分(食べ物や飲料に含まれる発酵性糖質)
・時間(酸にさらされている時間の長さ)
・歯の抵抗性(エナメル質の構造や唾液の性質)

食事をとると、口の中は酸性になり(pHが低くなり)歯の表面の成分であるカルシウムとリンがとかされはじめます。これを脱灰といいます。ふつう40分くらい時間がたつとpHは高くなり、とかされたカルシウムとリンはにもどり再石灰化されます。しかし、酸にさらされる時間や回数が多いと、歯の脱灰がつづき、う蝕が進行してしまいます。

※参考文献
厚生労働省「歯の健康」
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b6.html



う蝕は、突然できるものではありません。日々の食事習慣、口腔内環境、唾液の働きが複雑に絡み合いながら、「脱灰が再石灰化を上回った瞬間」に、静かに始まります。だからこそ、う蝕の本質を理解した上での定期的な予防管理が、生涯にわたる口腔の健康を守る鍵となります。
ハヤシ歯科では、医学的根拠に基づくう蝕予防と、患者様一人ひとりに寄り添う丁寧なケアを通じて、歯科医療を「未来の健康投資」と捉える方々に信頼される診療を提供しています。