ハヤシ歯科レポート

唾液検査でわかる口腔内リスク|ミュータンス菌・ラクトバチラス菌とむし歯の関係

口腔内には500種類以上の細菌が存在しているといわれており、そのバランスが崩れることでむし歯や歯周病のリスクが高まります。
特にミュータンス菌およびラクトバチラス菌は、むし歯の発生・進行に深く関わる代表的な細菌です。
近年では、こうした細菌の存在量やリスクを可視化するために、唾液検査が予防歯科の第一歩として広く導入され始めています。
ハヤシ歯科でも、この検査を通じて患者様一人ひとりの「見えないリスク」を科学的に評価し、個別の予防計画をご提案しています。

ミュータンス菌とラクトバチラス菌とは
・ミュータンス菌(Mutans streptococci)
ミュータンス菌は、糖分を栄養源として増殖し、酸を産生することで歯の表面を脱灰させる「むし歯の原因菌」として知られています。
この菌の多い方は、むし歯の発生リスクが高い傾向にあります。特に、糖分摂取の頻度が高い方では、その影響が顕著になります。

ラクトバチラス菌(Lactobacilli)
一方、ラクトバチラス菌はすでに形成されたむし歯をさらに悪化させる役割を持つとされています。
深いむし歯や、修復物(詰め物・被せ物)の周囲に生息しやすく、再発性のう蝕や根面う蝕といった問題に関連します。



唾液検査でできること
唾液検査では、以下のような項目を短時間で確認できます:
・唾液の分泌量と緩衝能(酸を中和する力)
・ミュータンス菌・ラクトバチラス菌の存在量
・むし歯リスクの総合評価
これにより、自覚症状のない段階でもむし歯になりやすいかどうかが数値で把握でき、今後の予防行動に活かすことができます。
特に、再治療を繰り返している方、糖尿病や唾液分泌の低下を伴う疾患をお持ちの方には、非常に有効な検査です。

※参考文献
日本口腔検査学会雑誌「歯科における唾液検査」
https://ir.tdc.ac.jp/irucaa/bitstream/10130/2431/1/3_13.pdf

ハヤシ歯科では、唾液検査を予防歯科の起点として導入し、
・科学的根拠に基づくリスク評価個別にカスタマイズしたブラッシングとケア用品の処方
・ハイドロキシアパタイトのナノ粒子によるエナメルケア
・フッ素ケア等の提案
・食生活・生活習慣に関するアドバイス
を組み合わせて、“むし歯になりにくい環境”づくりをサポートしています。
また、検査結果は患者様にも見てわかるようなグラフ形式で提示し、ご自身の口腔内環境と真剣に向き合う機会としてご活用いただいております。

口腔内の健康は、見た目では判断できない「目に見えない細菌環境」によって大きく左右されます。
唾液検査によってむし歯リスクの高低を可視化し、今後の予防戦略を立てることは、治療から予防へと歯科医療のパラダイムが移る中で、非常に重要な取り組みです。
ご自身のむし歯リスクが気になる方や、お子様・ご家族の将来を見据えたケアをご希望の方は、どうぞお気軽にハヤシ歯科までご相談ください。