ハヤシ歯科レポート

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と歯科治療:認知症・循環器疾患予防への新たなアプローチ

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に呼吸が繰り返し停止または低下する病態であり、いびきや日中の強い眠気だけでなく、放置することで様々な全身疾患を引き起こすことが知られています。特に近年では、SASが認知症や高血圧・心筋梗塞などの循環器疾患と深く関係していることが明らかになってきました。

SASと全身疾患との関連
日本睡眠歯科学会によると、SASは睡眠中の酸素不足を引き起こし、脳や心臓への負担が蓄積されることで、脳機能の低下や動脈硬化を誘発します。その結果として、認知症のリスクが上昇し、さらに心不全や脳卒中など命に関わる循環器疾患の発症リスクも高まるのです。特に中高年層では、SASが健康寿命を大きく左右する因子であるとされています。

歯科でのマウスピース治療:非侵襲的かつ効果的な選択肢
SASの治療法としては、一般的にCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)が知られていますが、軽度から中等度のSASやCPAPが合わない方には、歯科で製作される「口腔内装置(マウスピース)」が有効です。
このマウスピースは、下顎をわずかに前方に固定することで気道の閉塞を防ぎ、睡眠中の呼吸を確保します。携帯性が高く、違和感も少ないため、多くの患者様にとって継続しやすい治療法といえるでしょう。ハヤシ歯科では、各患者様の顎の形状や症状に応じた精密な型取りと調整を行い、機能性と快適性を兼ね備えた装置をご提供しています。

医科歯科連携の重要性:早期発見と予防の鍵
SASは本人が自覚しにくい疾患であり、医科と歯科の連携による早期発見と介入が極めて重要です。ハヤシ歯科では、耳鼻咽喉科や睡眠専門医との連携体制を整え、必要に応じてスムーズに診断・治療へとつなげる体制を構築しています。
また、問診時には睡眠に関する症状や生活習慣について丁寧にお伺いし、SASのリスクが疑われる場合には速やかな医科的検査をご案内いたします。

中高年層に多く見られるSASは、単なる「いびき」の問題ではなく、認知機能や心血管の健康に深く関わる全身性の疾患です。
ハヤシ歯科では、歯科的アプローチによる予防と改善を通じて、皆さまの健康寿命の延伸に貢献してまいります。
「最近いびきが気になる」「日中の眠気が取れない」といったお悩みがございましたら、ぜひ一度ご相談ください。

【参考】
一般社団法人 日本睡眠歯科学会
https://jadsm.jp/ippan/about_sas.html